循環器総論―検査
- 心電図
- 胸部レントゲン
- 採血、BNPとトロポニンの意味
- 経胸壁心エコー検査
- 冠動脈CT検査
- 心臓カテーテル検査
今回は狭心症、心筋梗塞の評価で重要な冠動脈CT検査について説明します。
冠動脈CT検査とは
心臓の周りには心臓に栄養を送るための血管があります。心臓から出た直後の大血管から出ている血管であり、大きく分けて3本の血管があります。
1 右冠状動脈―心臓の右側を通っている大きな血管
左冠状動脈(本幹)―心臓の左側を通っている大きな血管、出てすぐに2 左回旋枝、3 左前下行枝に分かれます
これらの血管を評価するために造影CTで評価します。
造影剤を使用するためいくつかの制約があります。
- ●撮影前4時間は食事は摂取できません。ーアレルギー反応が出た際に嘔吐してしまうからです。
- ●採血で腎機能を確認しますー造影剤で腎臓を損傷し腎不全になる可能性があるため腎機能低下している方には点滴施行します。
- ●心臓は動いているため少しゆっくりさせる薬を2時間前に飲んでから撮影します。―心拍数が早いと画像がブレて正確に評価できないからです。
- ●造影剤注入のため撮影前に点滴を取ります。造影剤注入時は体が熱くなる感覚があります。
造影剤のアレルギーの症状
- ●息苦しい(呼吸器症状)
- ●じんましん、皮疹、湿疹(皮膚症状)
- ●皮膚のかゆみ(皮膚症状)
- ●吐き気、嘔吐(消化器症状)
- ●頭痛
- ●くしゃみ
- ●冷や汗 など
アナフィラキシーショックに陥ると死亡する可能性もあります。
そのため、皮膚症状・消化器症状・呼吸器症状が非常に重要な指標になります。
検査時間は撮影時間10秒程度で非常に短時間で撮影できます。
冠動脈CTは3D構築ができるため非常にわかりやすいです。
冠動脈CTで評価できること
臨床的に冠動脈CTを施行する目的は以下の3つが多いです。
- 血管の狭窄・閉塞部位の評価
- 経皮的冠動脈形成術(PCI)後のフォロー
- 冠動脈バイパス術後のフォロー
血管の狭窄・閉塞部位の評価
動脈硬化が進行すると血管内にコレステロールの塊である粥腫(プラーク)が形成され、血管内腔が狭くなっていきます。
50%狭窄であれば1/2程度、75%狭窄であれば3/4程度は狭くなっていることを示します。
また、胸痛などの胸部症状があれば有意狭窄と呼びます。
狭窄部位があり、症状があれば狭心症と診断されます。
完全に閉塞してしまうと心筋梗塞の診断となります。その際は緊急でカテーテル治療が必要になります。
経皮的冠動脈形成術(PCI)後のフォロー
冠動脈CTは比較的症状が安定している方が外来で検査するためには有用です。
経皮的冠動脈形成術(PCI)後フォロー画像です。
矢印は再狭窄部位です。
冠動脈バイパス術後のフォロー
冠動脈バイパス術は狭窄部位より遠位部に血管をつなぐことで狭窄部位より遠位部に血液を送ることができます。
その際に用いられる血管は以下の4つが主です。
- 左右内胸動脈
- 左右橈骨動脈
- 右胃大網動脈
- 左右大伏在静脈
画像は以下のように吻合しています。
- ●左内胸動脈―左前下行枝
- ●右内胸動脈―鈍角枝
- ●大動脈―大伏在静脈―後下行枝
- ●大動脈―大伏在静脈―左回旋枝
まとめ
冠動脈CTとは冠動脈を造影CTで評価すること
冠動脈CTで評価できること
- 血管の狭窄・閉塞部位の評価
- 経皮的冠動脈形成術(PCI)後のフォロー
- 冠動脈バイパス術後のフォロー
今回はこれで終わります。お疲れ様です。
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